太氣拳には、元々、昇級昇段の審査制度というものがありませんでした。
そもそも中国武術には級位、段位といったものがなく、ボクシング等にもその様な制度は存在しません。
実力があるのかないのか?使えるのか使えないのか?
そこには実にシンプルな答えがあります。
太氣拳はその修得に長い時間、期間が必要と言われており、実際にその成果が具体的な形で現れてくるのにも個人差があり、これが出来たら次はこれ、等と言った積み上げ式の修得方法では通用しない一面があります。
何かひとつ大切なことが体得できたら、全体がいっせいに変わると言った特殊な性質があります。
故に柔道、空手等で採用されている昇級昇段システムは、その性質にそぐわないのかも知れません。
太氣拳には特別な審査やテストも無く、ある段階で突然に段位を授与されるというのものでしたが、普段の稽古が常に審査の様なもので、あえて審査制度を設ける必要などなかったのかも知れません。
それが又、目の前の目標をクリアすることに心を奪われ、その先にある大きな目標を見誤ってしまうという落とし穴に陥ってしまうことを防ぐことになっていたのかも知れません。
一方で他武道が昇級昇段審査を行なうことで、人材育成においてはその底辺を広げ、全体のレベルの底上げを成功させているのもまた事実です。柔道や空手の普及の現状をみるとそれは一目瞭然です。
これは昇級や昇段を当面の努力目標として位置付けて、それをクリアしていくことが日常の稽古の具体的な指標になっているからだと考えられます。
組み手に対応していくためには即効性を要求される打撃技術。根源的な能力の獲得を重視するためには修得に時間を要する太氣拳。
短期的な目標と長期的な目標。目前にある具体的な目標とスケールが大きくとらえ難い目標。
組み手を含めた太氣拳の訓練体系にはその両面が存在し、故に修得が困難と言われているのかも知れません。
成道会はこの矛盾する課題に取り組む中で相反する性質の両者にあえて相補性を持たせるべく、それぞれに審査制度を採用し、各人の努力目標として設定しています。
打撃クラスは実際に組み手に参加してけるだけの打撃の技量を有しているかどうか、太氣拳クラスはその稽古体系を各段階ごとに充分に理解しているかどうか、が1級までの主な審査基準となります。
仮に段位を取得しても、それは太氣拳修得のための入口に立ったようなものであるとの認識を持って、その後の取り組みこそが真の実力を養成していくことは言うまでもありません。
太氣拳の入口に立つための道のりが昇級昇段制度です。
●太氣拳クラス昇級審査
太氣拳成道会では、定期的に太氣拳クラスの昇級審査会を実施しています。
主に太氣拳の訓練体系の修得度、理解度を審査します。
昇級により帯の色が変わります。
●打撃クラス昇級審査
太氣拳成道会では、定期的に打撃クラスの昇級審査会を実施しています。
修得が困難とされる太気拳に対して、比較的短期で修得が可能な打撃技術のレベルを審査します。
昇級により帯の色が変わり、級位によって参加できる組み手対人練習の内容が変わります。
●昇段審査
太氣拳クラス1級、打撃クラス1級を取得した人は太氣拳、打撃、それぞれの昇段審査を受審できます。
昇段にて黒帯となります。
弐段以上は打撃初段と太氣拳1級を取得にて受審することができます。
参段取得以降は一定期間の稽古を経て、岩間統正先生に五段練士候補として推薦します。